(特別企画コラム) ニームエース・オスマック等を利用した線虫対策(例)
●ネコブセンチュウが発生しやすい環境
センチュウは酸素の多いところで乾燥している土壌に多く見られます。
1. 苗からの対策
古いポットを完全に消毒するか、新しいものに交換する。
(ポット及び作業する土のまわりにセンチュウがいることがあり、ポットの中でセンチュウが小さなコブを形成してしまうため)
2. 土壌の対策
土壌の表面から10〜15cm位にセンチュウは越冬して住み着いている。
a, 全面的に完熟堆肥(牛の休肥等だとセンチュウの住処となってしまうため)と肥料・微量要素・微生物資材等を入れ、全面深耕(約30cm位)を行う。
b. ニームエース(20kg)を全体に2袋散布してベットを作る。
c. ベットの上にさらにニームエース(20kg)を1-2袋散布して植えつける。
d. 灌水チューブで、灌水ミネラル(3000倍)・ニューオスマックエコ(土壌浸透剤)・EB-aエコ(土壌団粒化)をいれ全面灌水する。水量は約3トン。灌水は植え付け前でもあとでも良し。
e. マルチをする方は、ベットの上に散布するニームを植穴に半分入れ、残りの半分を定植の後に穴の上に散布する。
ニームの効果は約2ヶ月ほど持続しますので、ニームオイル(NewアクトLG)を上から散布すると、より効果的です。
センチュウ対策[PDF/2.74MB]
センチュウ対策についてのPDFファイルです。印刷用にどうぞ。
|
[PDF/重さ]と表示しているものはPDFファイルでご提供しています。 PDFファイルをご覧になるには、Acrobat Reader が必要です。 |
■センチュウについて
線虫の英名Nematoda(ネマトーダ)は糸のようなものの意味で、その形状からミミズの仲間と思われがちですがミミズとは分類学上まったく異なっています。しかし、線虫という名前からも想像できるように糸のような細長い生物と理解してもらえればよいのではないかと思います。
数多くいるセンチュウの中でも農作物に害を与えるのは植物寄生性(センチュウの大部分は寄生をしない自由生活性)のセンチュウであり、その代表的なものにネグサレセンチュウとネコブセンチュウがいます。これらのセンチュウは頭部に口針を持っており、この口針を植物体に突き刺し寄生します。いずれもサツマイモ・サトイモ・ジャガイモ・ニンジン・ゴボウ・ダイコン・ダイズ等多くの畑作物に加害し、ネグサレセンチュウでは根の腐敗や奇形を生じ、ネコブセンチュウでは植物の根にゴール(こぶ)を形成します。被害の原因は主にセンチュウによる養分の横取りやセンチュウの身体から分泌される特殊な物質による傷害です。
■発生と増殖
発生源としては、苗床からの持ち込み、前作の被害残恨、作業機械(ロータリー、プラウなど)による汚染土の持ち込み、雨水等による汚染土の流入が考えられます。
増殖は15℃以上で行われ最適温度は25〜30℃です。最適条件下での1世代は約30日で、1年に3〜5世代をくりかえし、1頭の雌の産卵数は数百に上ります。卵内で1回脱皮して、第二期幼虫になり土壌中に出ます。幼虫は根の先端近くから組織内に侵入し、やがて定着して養分を吸収しはじめます。その刺激により、巨大細胞を誘導してコブを作り、3回の脱皮を経て成虫となります。野外では卵で越冬することが多く、植物がある場合、寄生した成虫や幼虫でも越冬し、地温が10℃以上になると活動を再開します。
実際の被害は、3月までは地温があまり高くないため、センチュウの増殖はほとんどありません。しかし、暖冬の年や暖房機周辺やハウス南側では、早くから被害が見られることがあります。また、地温が高まる4月以降になるとセンチュウの活動が活発となり被害があらわれます。
■被害と診断
ネコブセンチュウ類に寄生されると日中葉がしおれ株全体の生育が悪くなります。株元近くの根を掘ってみると細い根にコブがついており、収穫終期になると根にコブが無数に付き根全体がコブ状になってきます。このコブが形成されることによって根の組織が壊され、水分や養分の吸収が悪くなり、ひどい場合には葉が黄変し枯れることもあります。また土質によっても被害程度が異なり粘質土壌よりも砂質土壌や火山灰土壌などの排水のよい土壌での被害が大きいようです。
ネコブセンチュウ類は種類によって寄主植物やコブの形・発生分布が異なります。サツマイモネコブセンチュウはイチゴ・ラッカセイには寄生せず、コブは連続しておりしかも大きく、とくに温暖地に多く見られます。キタネコブセンチュウはイネ科植物には寄生せず、コブは連続せず小さく、コブから細根が出ており、とくに寒冷地に多くみられます。アレナリアネコブセンチュウはワタ・イチゴには寄生しません。
線虫による作物の被害の様態は一般に生育不良や樹勢の低下等の緩慢なものであるため、被害は栄養障害(肥切れ)や生理障害と誤診される傾向があります。しかし、寄主作物の連作は線虫密度を増大させ、被害が顕在化して典型的な連作障害を引き起こします。
また、根こぶ病とネコブセンチュウを勘違いされる方が多数見られます。見た目はまったく同じのため区別がつきにくいですが、対処方法がまったく違ってきますのでご注意ください。
このページのTOPへ
|